空間デザイナーは儲かる!?知っておきたい仕事内容から、年収や労働時間のこと

空間デザイナーは儲かるか

居心地の良い空間に出会ったとき、「私も空間デザイナーになって、空間をデザインしてみたい!」と、みなさんも思ったことはありませんか?
一般的に、華やかなイメージのある、空間デザイナーという職業。
ですが、実際に空間デザイナーとして食べていけるの?儲かるものなの?という部分は、気になるところではないでしょうか?
今回は、具体的な空間デザイナーの年収やキャリアについてご紹介します。

空間デザイナーの年収はどのくらい?

空間デザイナーの年収の前に、現在の日本の平均年収をまずは見ていきましょう。
国税庁の民間給与実態調査によると、令和元年の平均年収は、436万円となっています。この金額を基準にして、空間デザイナーの年収を比較していきましょう。

1-1. 空間デザイナーの平均年収

空間デザイナーの平均年収はおよそ400万~500万円あたりと言われています。一般的な平均年収が436万円ですので、大体同等、もしくはやや高い印象を受けます。
でも結構年収の幅が広いなぁ!と思われた方も、いらっしゃるかもしれません。

こちらの記事でもご紹介した通り、空間デザイナーと呼ばれる人の幅が広いため、年収についても幅が発生しているようです。

1-2. 働き方での年収の違い

空間デザイナーとして、どういった働き方をするかによって年収は変わってきます。
働き方は主に、3パターン。

  • 独立開業する(フリーランス)
  • 個人デザイン事務所に勤務する
  • 一般企業に勤務する

1-2-1. 独立開業(フリーランス)の場合

独立開業、つまりフリーランスで働く場合、給料として定期収入を得られるわけでありません。
その為、平均年収など一般的な年収を基準として、年収を想定するのはなかなか難しいでしょう。
また、どこかの個人事務所や企業にて、空間デザイナーとしての実績を積んだ後に、顧客を抱えた上での独立開業でないと食べていくには厳しいです。

逆を言えば一定の顧客を掴んだ後は、デザインする空間の規模に比例して、デザイン料を獲得できる為、1000万円以上の年収を獲得することも可能です。
フリーランスは自分自身で動かない限り、収入を得ることは出来ません。
その為、自分自身の頑張り次第で年収が伸びる可能性は、一番高いです。

1-2-2. 個人デザイン事務所勤務の場合

個人デザイン事務所は、個人のデザイナーが主宰する事務所のことを言います。
すべての仕事は、その主宰のデザイナーの名前で獲得し、報酬を所属するスタッフに分配する仕組みです。
その為、主宰のデザイナーの知名度や、獲得する仕事の規模、また抱えるスタッフの人数によって、受け取れる年収は異なってきます。

個人デザイン事務所で働くということは、デザイナーから技術を学ぶ機会を得られる為、安給で下働きを行う意味合いが、未だに強いのが現状です。
空間デザイナーの平均より、低い可能性もある、とみておいて間違いないでしょう。
ただし、「どこの事務所で働いていたか?」で実力を測られることも多いため、将来の独立開業の為の先行投資として、安給でも割り切って働いている人も多いです。

1-2-3. 一般企業勤務の場合

空間デザイナーとして一般企業に勤務する働き方が、一般的な平均年収との比較をもっとも行えます。
入社の際に、給料の提示が行われる為、3つの働き方の中で一番、自分が獲得できる年収の予測が立てやすいでしょう。
通常は勤続年数と共に、昇給していくので、社内のロールモデルから自分が将来もらえる年収も予測可能です。

また各種社会保険や有給休暇、育休制度など福利厚生の面で、給料以外の部分のサポートがある点も、他の働き方との違いです。
ですが、企業規模やどの業界で空間デザイナーとして働くか、によって年収のレンジが違ってきます。

1-3. 業界、職種、企業規模での年収の違い

空間デザイナーが活躍するメイン業界は、大分類として「建設業界」となり、そこから中分類で、「住宅・インテリア業界」、「不動産業界」「内装・ディスプレイ・イベント業界」などに分かれていきます。

空間デザイナーとして、企業で働いた際の具体的な職種としては、資格をもつ「建築士」の年収が一番高く、その次に資格を持たない「設計士」「プランナー」、その他「コーディネーター」などが続きます。
仕事内容が、よりアート性を求められる場合は、「デザイナー」の名称も多く、ポジションが上がると「アートディレクター」「プロデューサー」といった、肩書になることが多いです。

企業で働く場合は、「企業の規模」「業界」「職種」で稼げる年収幅が異なってきます。
中でも「設計」の職種の年収は、比較的高い傾向の様です。

総合建設業であるゼネコンや、都市開発を行うディベロッパー、住宅を扱うハウスメーカーにて、建築士として働いた場合の平均年収は、大手企業で650万~750万円あたりと言われています。
空間デザイナーの平均年収である400万~500万円より、高い給与が得られますので、安定的に稼ぎたい人にとっては魅力的ではないでしょうか。

勿論、大手企業に入社する狭き門を突破する必要があります。また、入社して直ぐに、これだけの年収を稼げる訳ではありません。
基本的には、会社に合わせて長く勤めつつ、自身のスキルを高めて、評価が得られなければ、手にすることは出来ないことをお忘れなく!

仕事はキツいの?労働時間や残業時間が知りたい!

先ほどもお伝えしたように、空間デザイナーが活躍する主な業界は、「建設業界」にあたります。
そして残念ながら建設業界は、労働時間の長い業界ランキングがあると、常に上位に入ってくる業界です。
その為、精神的にも肉体的にも、タフさが求められる仕事と言えるでしょう。

2-1. 空間デザイナーの平均労働時間

フリーランスで働いていない限り、原則的には1日8時間、1週間に40時間と、厚生労働省による労働基準法で決まっています。
ですがこの時間内に仕事が終わるか?といったら、まず終わることはありません。
抱えているプロジェクトの量や、繁忙期による増減はありますが、平均的には毎日2~3時間の残業が発生し、週60時間程度の労働時間としてみておいた方が良いでしょう。

残業が発生しやすい理由は、空間デザイナーという仕事が、基本的には「ものづくり」にあたるためです。
誰かを納得させる前に、自分が納得する内容のものが仕上がらない限り、仕事に終わりがありません。
そして新しいものを生み出すための「考える時間」と、考えたものをアウトプットさせる「作業の時間」を確保していく必要があります。
「考える時間」と「作業の時間」を、効率よく確保していかなければ、1日8時間なんて、あっという間に過ぎ去り、気が付けば残業をすることに…。

2-2. 残業時間と年収の関係

2-2-1. 独立開業(フリーランス)の場合

 フリーランスとして働く場合は、請け負う仕事内容や契約にもよりますが、基本的には成果報酬です。
その為、残業時間に比例して、年収が多くなることはありません。
働く時間や時間帯も基本的に自由ですが、受け取る報酬に見合った労働を、自分で作り出す必要があります。

2-2-2. 個人デザイン事務所勤務の場合

個人事務所では、残業代について言及されている様子がないので、基本的には「みなし労働時間」を適用した、裁量労働制での雇用契約なのだと思われます。
つまりは、発生するのであろう残業時間を事前に想定し、その時間も含んだ労働時間に対して、年俸(年収)が支払われるということです。
労働時間が想定より少なくても、年収は減りませんが、労働時間が想定より長くても、年収は増えません。
個人事務所では、求められるスキルも、意識も高く、仕事にかける時間も長いため、労働時間にこだわりがある方は、避けた方が無難でしょう。

2-2-3. 一般企業勤務の場合

 一般企業に勤め、「みなし労働時間」を適用した裁量労働制での契約をしていなければ、働いた分の残業代は基本的には支払われます。
 企業に勤めている場合の年収は、基本給と残業代と賞与(各手当は省く)で決まるため、残業が一定量発生する空間デザイナーの仕事が、一般的な平均収入より高いのは納得です。
 ですが出世して管理職になると、役職手当や基本給が上がる代わりに、残業代は支払われなくなります。
「昇進して役職ついたけれども、仕事量は増えた。平社員で残業代をもらっていた方が、年収は高かった!」というのは、よく聞く悲しい話なのでご注意くだざい。
 
因みに「みなし労働時間」を適用した裁量労働制で契約を結んでいても、残業代を請求できる場合もあります。
厚生労働省のHPなどにも、詳しく載っていますので、気になる方は一度確認してみましょう。

空間デザイナーの基本的な業務内容の事例紹介

空間デザイナーの仕事は、空間をデザインする必要のある「プロジェクト」の進行と共に、全ては動いていきます。プロジェクトは「立上げ」から始まり、「計画」、「実行」、「監視・コントロール」、そして「終結」で完了です。
基本的には、プロジェクトが終わりに近づけば、忙しさも落ち着きます。
ですが複数のプロジェクトが、同時進行していることも多いので、あまり暇な時を感じることは少ないかもしれません。

またどのフェーズにあるかで、求められる業務も異なってきます。ここでは、空間デザイナーが求められる基本的な業務を、ご紹介したいと思います。

  • 打合せ業務
  • 計画・提案業務
  • 調整業務
  • 監理業務

3-1. 打合せ業務

打合せの業務は、プロジェクトがどのフェーズにあっても、日々発生する業務です。
誰かから依頼を受けて、空間デザインの仕事は発生します。
クライアントや別部署、協力業者など打合せの相手は様々ですが、要望を丁寧にヒアリングし、確実にアウトプットに繋げる必要があります。

3-2. 計画・提案業務

空間デザイナーの計画業務は、プロジェクトの早い段階で発生、提案業務はすべてのフェーズでも発生します。
アウトプットの主な形は、デザインイメージをスケッチや、CADソフトで図面を作成、3Dパースの作成などです。
ヒアリングを行った要望から、イメージを膨らまし、デザインに落とし込む作業です。空間デザイナーにとって、一番の腕の見せ所ですね。

ですが一度提案すれば終わりではなく、日々提案の修正が発生しますので、「考えること」と「作業をすること」の両方を、効率よくこなす必要があります。

3-3. 調整業務

調整の業務もすべてのフェーズにおいて、社内外の調整が発生します。
空間デザイナーとしての調整は、「デザイン」だけではなく、「費用」と「スケジュール」にも必要です。
提案がある程度まとまった後、「費用」と「スケジュール」をまとめる為には、実際に施工をしてくれる業者を、選定しなければなりません。
施工業者は、クライアントから指定がある場合と、空間デザイナー側が用意する場合があります。
どちらの場合であれ、クライアントと施工業者の間に入り、工事スケジュールや費用、仕様などを調整する為、重い業務の一つと言えるでしょう。

3-4. 監理業務

実際に工事が始まると、決定した計画通りに工事が進んでいるか、デザイン監理する必要があります。
工事の現場は予測できないトラブルが、常に発生します。予定通りに完成させる為には、空間デザイナーとして、臨機応変に対応しなければなりません。
また現場によっては、日中作業できず、お店の営業が終わった夜間作業の場合も多いです。昼夜問わず、現場への確認なども発生し、プロジェクト終盤でも気が抜けません。
ですが、自ら考えたデザインが、現場で仕上がっていく様子を見られるのは、空間デザイナーとして、大きなやりがいを感じる瞬間ですね。

空間デザイナーのキャリアを上げるためには?

空間デザイナーのキャリアップ比較的に高い年収を得られる空間デザイナーですが、日々の業務をこなしているだけは、年収は上がっていきません。
キャリアを上げていくことが、年収を上げることに繋がります。そこで、キャリアを上げる方法をいくつかご紹介します。

4-1. 雇用される側の場合(一般企業、個人事務所勤務など)

4-1-1. キーパーソンに認められること

雇用されている方は、仕事を「誰か(キーパーソン)」から、与えられる立場にあると思います。
まずはその「誰か(キーパーソン)」に認められることが、組織の中で働くには重要です。役に立つにはどうすればよいか?
自分に求められているものは、技術かコミュニケーション力か?をよく見極める必要があるでしょう。

4-1-2. 大きなプロジェクトにアサインされること

キーパーソンに認められると、大きなプロジェクトの参加が出来るようになってきます。
キャリアで重要なことは、どんな仕事に関わり、何を得たか?という部分です。大きなプロジェクトに多く参加できることは、キャリアを上げるチャンスが増えるということ。
ですが欲を出し過ぎて、多くのプロジェクトを抱え、結果が出せなければ意味がありません。チャンスを逃がさない様に、セルフコントロールも必要です。

4-1-3. 資格を取得すること

組織で働いている分には、実際のところ資格がなくても、空間デザイナーの仕事は行えます。
ですが将来的に独立することで、キャリアを伸ばしたいと考えるのであれば、資格を取得することをおススメします。
一般的には、資格取得後には資格手当が支給されて、年収があがるでしょう。
また組織に勤めているのであれば、資格取得の為の補助金が出るところもありますので、活躍しない手はありません。

4-2. 雇用する側の場合(経営者、フリーランスなど)

4-2-1. 顧客を獲得し続けること

経営者やフリーランスの方は、仕事を自ら獲得してこなければ、1円も稼ぐことが出来ません。
組織で、一スタッフとして働いていた時は、アイデアや技術力が重要とされます。ですが経営者となれば、自分を売り込む営業力が、まずは必要となってきます。

そして顧客を得る機会の多くは、知り合いからの紹介という場合が多いです。
その為、声がかかりやすい様に人脈を、独立前から広げておくことが良いでしょう。
良質な顧客を獲得し続けることが、キャリアを上げる前に、会社を維持し続けるうえで必要なことです。

4-2-2. アワード(賞)を獲得すること

自身のデザイン力を証明するために、コンペに参加してアワードを獲得することも有効です。
空間デザインを扱ったアワードはいくつかあり、日本では「日本空間デザイン賞」などが有名。
海外のアワードを獲得すれば、世界で通用するデザイン力を証明でき、更にキャリアUPに繋がります。アワードを受賞し、名前が世間に知られることで、顧客を獲得する機会も増えるでしょう。

4-2-3. 規模の大きなプロジェクトを獲得すること

空間デザイナーはデザイン料で収入を得ます。デザイン料は建築工事費用に比例し、大体10%前後が相場とされています。
その為、工事費用が大きなプロジェクトを獲得できれば、必然的に収入も大きくなり、年収も上げることが可能です。
ただ規模の大きなプロジェクトの場合は、一人でこなせる量ではなくなるため、スタッフを雇ったり、作業を外注したり、と出ていく費用も増える傾向がありますので注意が必要です。

おわりに

空間デザイナーの年収について、ここまでご紹介をしてきましたが、如何でしたでしょうか?
空間デザイナーは、日本人の平均的な年収より、やや多めに年収を稼ぐことも可能で、更に働き方次第では、年収の伸びしろが大きいです。

ただしキャリアや人脈の形成が必要なため、金額相当以上に働いた結果の報酬、という印象も受けます。今後、空間デザイナーで食べていきたい!という方は、早い段階から計画的に、キャリアづくりを考えながら働くことをオススメします。

そして何よりも忘れてはいけないことは、「空間をデザインしたい!」という情熱です。自身のモチベーションを保ち続けることが、キャリアを作るためには必要なことだと思います。
皆さんそれぞれに合った、空間デザイナーのキャリアを、築き上げていってください。