最近ニュースサイトやSNS上で、「ノーコード」がよく話題になっています。「ノーコードの誕生によって、プログラミングは不要になるのではないか」とも言われています。これらの情報を聞いて、ノーコードに興味を持った方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は「ノーコードとは何なのか」について、初心者に分かりやすく解説します。
ノーコードとは何か
ノーコードとはプログラムを書かずに、Webサイト製作やアプリ開発をする開発方法です。
従来はプログラミングによって開発を行うケースがほとんどでした。しかし、ノーコードの登場によって、高度なプログラミングスキルが無くても、Web・アプリ制作が可能だと言われています。
皆さんが普段使っているアプリの8割は、ノーコードで作ることが可能です。実際にノーコードで開発をするには、専用のツールが必要になります。
ノーコード専用のツール
- STUIO / Bubble / Webflow / Integromat / Airtable / Sharetribe / MemberStack / Boundless / Glide / Adalo / Voiceflow / AppSheet / Shopify…
などがあります。この他にも開発ツールは多く存在します。
近年GoogleやAmazonなどの大企業も、この分野に参入する動きを見せており、ノーコードはかつてないほどの注目度を示しています。この機会にノーコードを学んでみてはいかがでしょうか。
ノーコードで何ができるか
ノーコードによって、誰でも手軽にWebサイトやアプリケーションを開発することができます。
ノーコード開発ツールでは、既に用意されているパーツをドラッグ&ドロップなどで組み合わせ、開発を進めます。そのためアイデアさえあれば、プログラミング未経験者でも直感的に作業をすることが可能です。
もしあなたが、「喫煙者のいない公園を検索するスマホアプリ」をおしゃれなデザインで作りたいのであれば、スマホ版アプリ開発が可能なAdaloを使うことで、簡単に作れてしまいます。そうすれば、「受動喫煙を避けられる公園に行きたい人」の願望をかなえられます。
「アイデアはあるけど、プログラミングなんてやったことないから、結局開発できない!」なんて人の助けになるのが、このノーコードです。
NoCodeの流行
ノーコードの市場は、国内のみならず世界中で拡大しています。
ノーコード自体は昔からありましたが、近年になって盛り上がりを見せています。
ノーコード流行の理由
- 開発ツールの発達(バックエンドの開発も可能になった)
- ノーコードによるアプリ開発の成功事例(収益化)が出てきた
- AmazonやGoogleなどの大手企業の参入
そこで、一体どのようなノーコードの成功事例があるのか、見ていきましょう。
世界情勢(具体的なサービス事例3)
ノーコードの海外事例を3点ご紹介します。
音楽スタジオマッチングアプリ「Studiotime」
一つ目は、イギリスで作られた「Studiotime」。これは、音楽スタジオを貸したい人と借りたい人をマッチングするアプリです。このアプリはSharetribeというツールで作られています。
Product Huntというアプリのランキングサイトで、このアプリをローンチした際、数時間で1000人を超えるユーザー流入が起こりました。その後このアプリは、歌詞音楽スタジオとして世界最大のインターネット市場となるまで成長しています。
マーケッター専門の求人サイト「Hey Marketers」
二つ目は、マーケッター専門の求人サイト「Hey Marketers」。
このアプリの作者はコードを一切書けませんが、ノーコードだけで一人でHey Marketersを作りました。後は自身のマーケティング力でサービスを成長させ、月収1000ドル(およそ10万円)まで獲得することができました。
ノーコード事例において、「コーディングはできないけどマーケティングに長けている人」が、成功を収めているケースが多いです。Hey Marketersの事例も、このケースの典型的な例です。
ノーコード開発の学習サービス「MakerPad」
三つ目は、ノーコードを使った開発の学習サービス「MakerPad」。
このサービスは、ノーコードを学習したい人にとって非常に便利であり、ノーコードについてある程度理解がある人で、知らない人はいないほど有名です。
Product Huntノーコード部門では年間1位を獲得し、月間収益も20000ドル(およそ200万円)を超えています。
国内情勢(具体的なサービス事例3)
日本国内のノーコード事例を3点ご紹介します。
Web説明会のためのプラットフォーム「SPOTTO」
コロナの影響で対面での就活ができないため、リモートで就活を可能にするために、SPOTTOは作られました。このアプリでは、Webで応募から面接まで完結することができます。
コロナの影響によって、外部環境が変化すれば顧客のニーズも変わってきます。SPOTTOは、このニーズにいち早く対応した良い例です。
Bubbleで開発された読書関連サービスの「SHarK」
【NoCode製SNS】SHarK!!!は、ユーザーが良いと思った本の文章を引用して投稿するSNSです。読書内容の共有に特化したTwitterのようなものです。
「この表現良い!」と感じた文章とその書籍名を投稿するだけの、シンプルな使い方です。他人の投稿を見て、その本に興味を持つケースもあるでしょう。
ちなみにこのアプリを作成したのは、なんとプログラミング未経験の大学生チームです。アイデアが浮かんでからわずか3週間で作成したのだから驚きです。
プログラミングができない人でも、ノーコードを使えば、話題を呼ぶアプリを作れるかもしれないということが、この事例から見て取れます。
一緒にお出かけをしたい人同士でマッチングさせるアプリ「DEKAKERU」
お出かけアプリ「DEKAKERU」は、お出かけを企画する「募集者」が、募集を呼びかけ、行き先や募集人数などを設定します。その募集を見て「このお出かけ良さそう」と思った人が申し込みをします。そして、募集に応じた人たちと募集者が一緒にお出かけをすることになります。
このアプリは、
「誰か知らない人とお出かけを楽しみたい」
「一人では行きづらい場所に、誰でもいいから一緒に買い物へ行きたい」
「ぼっちだと思われたくない」
などのニーズにしっかりと応えています。何とも斬新なアプリです。
ノーコードのメリット
ノーコードにおける開発はローリスクであるため、新規ビジネスの参入が容易になります。これがノーコード最大のメリットです。
ノーコードでの開発は従来の開発手法と比べて、開発期間の短縮や開発コストの削減が見込めます。その結果、リリースしたアプリがそれほど売れなくてもダメージがなく、ニッチな産業のアプリケーション作成のリスクが低下します。
一般にプログラミングでアプリ開発をした場合、もちろん要件によりますが、外注費用が500万円以上かかる場合が多いです。仮に売上が無かった場合、丸々コストと時間の損失となります。これをノーコードで開発すればコストと時間を抑えられるので、売れなくても損失を最小限にとどめることができます。
つまり、あまり需要がなさそうなアプリでも、ローリスクで開発ができるという強みがあります。これらの理由からノーコ―ドは、誰でもローリスクでビジネスを始められる開発手法だといえます。
ノーコードのデメリット
ノーコードにもいくつか弱点があります。ここでは2点ほどご紹介します。
一つ目は、プラットフォームが潰れると、そこで作ったアプリが全て台無しになる可能性があるということです。ノーコードは現在のところ特定の企業やサービスによって管理されています。
GoogleのプラットフォームにAppsheetがあります。例えば、そのAppsheetでアプリを作って公開しているとします。そこでもしGoogleがAppsheetのサービスを終了したら、それらのアプリもサービスを終了することになってしまいます。
そのため、ノーコードを利用する場合は、プラットフォームに注意してサービスを見極める必要があります。
二つ目は、特定のプラットフォームの中で開発をするので、開発要件に限界があり、複雑な実装やさらなる機能実装をすることが困難だということです。
ノーコードは簡単なモノづくりを可能にすることに関して得意ですが、複雑なモノ作りに関しては得意ではありません。
複雑な実装を簡単に行う方法こそ「プログラミング」なのです。そのため、ノーコードが出てきてもプログラミング自体の需要がなくなることは無いと言われています。
より洗練されたアプリを作る場合は、プログラミングを取り入れる必要があることを覚えておきましょう。
まとめ
今回は、「ノーコードとは何なのか」について初心者に分かりやすく解説しました。
ノーコードは、誰でも簡単にアプリが作れる便利なツールです。プログラミングができなくてもアプリを作りたいという方は、一度ノーコードを試してみてください。